第9回〜HPVワクチン〜
HPVワクチンについて
HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)とは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐ予防接種に用いられる薬剤のことです。ヒトパピローマウイルスは性行為により感染しますが、特別な人だけが感染するのではなく、多くの女性が一生のうちに一度は感染するごくありふれたウイルスです。
HPVにはいろいろ型があります。子宮頸がんの原因となる主なHPVは16型と18型で、子宮頸がんの原因の約65%を占めています。20~30代で発見される子宮頸がんの80~90%は、この16型・18型が原因です。その他にも31型、33型、45型、52型、58型などでも子宮頸がんは発症します。
ワクチンの種類と効果
日本でのHPVワクチンは、2価ワクチン(サーバリックス)、4価ワクチン(ガーダシル)が接種されてきましたが、2021年に9価ワクチン(シルガード) が販売開始となりました。
それぞれのワクチンが防ぐことができるHPVの型は次の通りです。
2価ワクチン(サーバリックス) … 16型、18型の2つ
4価ワクチン(ガーダシル) … 6型、11型、16型、18型の4つ
9価ワクチン(シルガード) … 6型、11型、16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型の9つ
ワクチンの接種方法
HPVワクチンは、主に腕の筋肉に注射します。1~2回の接種では十分な抗体ができないため、半年の間に必ず3回の接種が必要です。ワクチンの種類によって接種間隔が異なります。
標準的なワクチン接種スケジュール
2価ワクチン(サーバリックス)
1回目の接種から1ヵ月の間隔をおいて2回目の接種を行った後、1回目の接種から6ヵ月の間隔をおいて3回目の接種を行います。
4価ワクチン(ガーダシル)
9価ワクチン(シルガード)
1回目の接種から2ヵ月の間隔をおいて2回目の接種を行った後、1回目の接種から6ヵ月の間隔をおいて3回目の接種を行います。
原則は1回目に接種したワクチンと同様のものを2回目、3回目も接種してください。(15歳未満の公費でのシルガード接種の場合は2回接種になります。)初めての性交渉を経験する前に接種することが最も効果的です。
抗体持続期間は約20年です。
接種期間の途中で妊娠した際には、その後の接種は見合わせることとされています。
公費で接種できる制度もあります。詳しくは自治体にお問い合わせください。
接種後の副反応と注意
HPVワクチンは、接種により、注射部位の一時的な痛み・腫れなどの局所症状が約8割以上の方に生じるとされています。重い副反応として、まれに、アナフィラキシー様症状や注射時の痛みや不安のために起こる失神(迷走神経反射)を起こした事例が報告されていますが、これらについては接種直後30分程度は接種場所で安静にしていただくことで対応が可能です。
入浴は接種日当日から可能です。
接種後の激しい運動は控えましょう。
接種後一週間は症状に注意し、強い痛みがある場合や痛みが長引く場合など気になる症状があるときはHPVワクチンを接種した医療機関にご相談ください。
■大切なこと■
予防率は100%ではないので
接種後も定期的な子宮頸がん検診を必ず受けることにしましょう。
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