第4回〜子宮筋腫〜
Q子宮筋腫とは?
A子宮筋腫は珍しくない病気です。小さなものも含めると、多くの成人女性にみられます。良性の腫瘍ですが、生理の量が多くなる、生理痛がひどくなる、量が多い生理により貧血になる、など様々な症状を引き起こします。筋腫は卵巣から分泌される女性ホルモンによって大きくなります。閉経すると、大きくはなりませんがごく稀にガン化すると言われています。筋腫は一個のこともありますが、複数個できることもあり、数や大きさはさまざまです。
・粘膜下筋腫・・・子宮の内腔に向かって発育する
・筋層内筋腫・・・子宮の筋肉の中で発育する
・漿膜下筋腫・・・子宮の外(腹腔)に向かって発育する
に分けられます。大きさやできる場所によって症状が違ってきます。
Qどのような症状がありますか?
A 主な症状は、生理の量が多くなることと、ひどい生理痛です。
症状はできる場所と関係があります。
子宮の内側にできた筋腫は小さくても症状が強く、逆に子宮の外側にできた筋腫は大きくなっても症状がでない傾向があります。そのため、治療が必要かどうかはできた場所や症状、あるいは筋腫が大きくなるかどうかによって異なってきます。
- ●主な症状
-
- 生理の量が多くなる(過多月経)
- 生理痛がひどくなる(月経困難症)
- 生理以外に出血する(不正出血)
- 腰痛
- トイレが近い(頻尿)
- 妊娠しにくい(不妊症)
- 流産しやすい など
Qどのような治療法がありますか?
A 筋腫が小さくて無症状の場合は、大きくなってこない限り治療の必要はありません。治療法には手術と薬があります。手術には子宮を取ってしまう手術(子宮全摘術)と筋腫だけ取る手術(筋腫核出術)があります。
子宮の内側にできた筋腫は小さくても症状が強く、逆に子宮の外側にできた筋腫は大きくなっても症状がでない傾向があります。そのため、治療が必要かどうかはできた場所や症状、あるいは筋腫が大きくなるかどうかによって異なってきます。将来子供がほしい人や子宮を残す希望の強い人では筋腫だけ取る手術をしますが、手術の際、出血が多くなるのが難点です。また、直接見てもわからないような小さな筋腫が取り残される可能性があり、数年後に子宮筋腫が再発してくることもあります。
最近、腹腔鏡を使って手術を行う施設も増えてきましたが、大きさやできた場所によっては腹腔鏡での手術が難しい筋腫もあり、その場合は開腹手術になることもあります。
子宮筋腫を根本的に治す薬は今のところありませんが、薬で、子宮筋腫を小さくしたり、過多月経や月経困難症などの症状を軽くすることができます。症状を軽くする治療としては、月経困難症が主な症状の場合はまず鎮痛剤を使用します。鎮痛剤で月経困難症を治療することができない場合や過多月経を治療する場合は、ピル(経口避妊薬)を服用することもあります。
女性ホルモン量の少ないピルを使うことで、筋腫が大きくなりにくく、症状も楽になることがあります。
子宮筋腫の増大を防ぐ治療としては、月経を止める治療(偽閉経療法)が行われます。
治療薬には、毎日使用する点鼻薬(鼻からのスプレー剤)と4週間に1回の注射薬の2種類があります。この治療では女性ホルモンの分泌が少なくなるので更年期様の症状がでたり、骨量(骨のカルシウム量)が減少するおそれがあります。そのため長期(半年以上)は使えません。また、治療中に不規則な出血を認めることもあります。治療中は子宮筋腫が小さくなることがありますが、治療を中止すると、数ヶ月で月経が再開し、そのため子宮筋腫も元の大きさに戻ることが多いです。このような理由から、偽閉経療法は、手術前の一時的な使用や、閉経が近い年齢の方などの治療として行われることが多いようです。
その他の治療法として、子宮に栄養を送る血管をつめてしまう治療法(子宮動脈塞栓術)もあります。 この場合、一旦詰まらせた血管は元に戻らず子宮は使えなくなります。そのため、この治療法は今後子宮を必要としない人で手術をしない人に行います。
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