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子宮内膜症

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ドクターズコラム いっちゃんのお話 イワタ医院先生

第3回〜子宮内膜症〜

Q子宮内膜症ってどんな病気ですか?

A子宮内膜症とは、本来は子宮の内腔(内側)にしか存在しない子宮内膜が、本来存在する以外の場所(卵巣、腹膜など)に迷入し、出血を繰り返すことによって起こる病気です。その出血は迷入した子宮内膜が女性ホルモンに反応して、その場所で増殖し、剥離することによって起こります。

子宮内膜症イラスト

子宮の内腔に存在する子宮内膜は毎月卵巣からの女性ホルモンの作用で増殖・肥厚しますが、妊娠しないと剥離し、月経(生理)となって膣から体の外へ出て行きます。
それ以外の場所で増殖した子宮内膜や剥離によって起こった出血はその場にとどまり、臓器の腫大や炎症、癒着[ゆちゃく]、月経痛や性交痛などの痛みの原因になります。
子宮内膜症のうち、子宮の筋層(筋肉の壁)の中に子宮内膜が入り込んで増殖・剥離・出血を繰り返し子宮の筋層が厚くなり子宮が大きくなる病気を子宮腺筋症といい、本来内膜があるべき子宮で起こる病気なので内性子宮内膜症ともいいます。
本来内膜があるべき子宮以外で起こる子宮内膜症は異所性(外性)子宮内膜症といいます。卵巣内に子宮内膜が迷入し増殖・剥離・出血を繰り返すと卵巣にチョコレート状になった古い血液がたまって卵巣が腫大します。それをチョコレート嚢胞[のうほう](卵巣の子宮内膜症)と言います。

子宮内膜症ができやすい場所は、子宮、卵巣、子宮と直腸の間のくぼみ(ダグラス窩)などですが、時々膀胱、腸、臍、肺などにもでき、子宮内膜が存在する部位の名前をとって、膀胱子宮内膜症、直腸子宮内膜症、臍子宮内膜症、肺子宮内膜症などと言われます。

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Qなぜなるの?

A子宮内膜症は生理が始まった年齢以降どの年代でもみられる病気で最近、20代から40代の女性を中心に急激に増えています。昭和40年代と比較しても、患者数は3倍近くに増えているといわれます。その原因として考えられているのは、女性のライフスタイルの変化です。子宮内膜症は、月経が始まってから年数がたつほど増加します。また、月経周期が短く、月経の期間が長い人の方が内膜症になりやすいといわれています。

かつては、日本の女性も若くして結婚し、たくさんの子どもを生んでいました。その当時は、妊娠・授乳による月経の停止によって、エストロゲン※(女性ホルモンの一種)の働きが抑えられ、子宮内膜症にならずにすんだり子宮内膜症になっていた人でも自然に子宮内膜症が良くなったりしていたと考えられます。しかし、今は生理が始まる年齢も早くなり、閉経の年齢も遅くなっています。それだけ、エストロゲンが分泌される期間が長くなっているのです。さらに働く女性が増えて、結婚年齢も出産年齢も遅くなっています。出産回数も大幅に減少し、子どもをつくらない女性も増えてきました。その結果、妊娠・授乳による「自然治療」の機会が減少し、子宮内膜症が増えてきたと考えられるのです。
 そういう意味で、子宮内膜症は現代病のひとつで、女性のライフスタイルの変化によって増加している病気といえるのです。子宮内膜症はすべての年代で生理痛・不妊・チョコレート嚢胞のガン化など、人生に影響をあたえる事がありますのできちんと検査を受けましょう。

※)エストロゲン…女性ホルモンの一種で月経で剥がれた子宮内膜を作る作用があります。

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Qどんな治療がありますか?

A子宮内膜症の治療法は、大きく「薬物療法」「手術療法」の2つに分けられます。治療法の選択は、症状や年齢を始め、自身のライフプランによって違ってきます。女性にとって大きなイベントである妊娠・出産をこれから希望するか、希望する場合はいつ頃かといったことが大きなポイントになります。

薬物療法は、症状を軽減させたり病変の進行を予防します。大きく分けて、鎮痛剤や漢方で痛みを抑える『対症療法』と、病気の進行を止めたり病巣を萎縮させる『ホルモン療法』があります。
ホルモン療法の中にも、生理の量を減らしホルモンを抑える「低用量ピル・EP配合薬療法」、卵巣から分泌されるエストロゲンを低下させる「GnRHa療法」「ジエノゲスト療法」があり、「GnRHa療法」では腫瘍の大きさが小さくなることもあります。
手術療法は、病巣部のみを除去する方法(保存手術)と病巣を持っている臓器(子宮や卵巣)を全部摘出する方法(根治手術)があります。 保存手術としては腹腔鏡を用い、骨盤内癒着がひどい場合は癒着を剥がしたりチョコレート嚢胞がある場合は嚢胞を切除したりします。また状況によっては開腹手術になる場合もあります。ただし、手術を行っても、再発する場合があります。
『根治手術』で子宮を全部摘出すれば月経が無くなり、生理痛で悩まされることは無くなります。ただし、腹膜に病変がある場合は正常な卵巣が残っていれば再発する可能性があります。個々の病状や年齢、ライフプラン、腫瘍の良悪性によって『薬物療法』『保存手術』『根治手術』のいずれを選択するかが決まります。
赤ちゃんを望んでいる方には『薬物療法』や『保存手術』での治療を行い、通常『根治手術』は行いません。

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